自動車を支配するのはどのハウスか

オリビア・バークレイ Q.H.P.


これは Considerations (Vol.XV, No.1 2000) に掲載されたオリビア・バークレイの“Which House Rules Cars?”というアーティクルを翻訳したものです。 このアーティクルの権利はConsiderations Magagine、訳文の著作権はフォル事務所にあります。 権利者の許可なく利用することはできませんのでご注意ください。 私は生前のオリビア・バークレイから、その著作物一切について自由に翻訳・出版しても良いという許可を得ています。
國分秀星 Q.H.P.

過去の偉大な権威たちを参照しないで占星術を学べば、占星術師は明確な判断や未来予知ができないほどの混乱状態に陥るだろう。 私たちは17世紀の占星術を再発見したが、ある単語や語句の意味が変わったことに気づくことがある。

たとえば“Christian Astrology”でリリーは第2ハウスについて述べている。 これはクエレントの富や貧困、動かすことのできる物すべて、貸付金、利益や儲け、損失や損害を示すとリリーは断言している。 ここで厄介なのは、私が「運ぶことのできる(*1)」と解釈する「動かすことのできる(*2)」という単語だろう。 家、家屋、土地、町、都市や城のように運ぶことのできないものは第4ハウスに属する。 (もちろん、色や身体の部位のように他にも第2ハウスと第4ハウスに支配されるものがあるが、主に形のあるものを支配する。)

他のハウスの中にも有形の物を含むものがある。 たとえば、第5ハウスは居酒屋(*3)を含んでいる。 「なぜ?」と思うかもしれない。 理由は、金星が第5ハウスでジョイとなり、その快楽と娯楽の性質をそのハウスにもたらすからである。

第3ハウスは別の有形の物である手紙を支配する。 なぜか?  月が第3ハウスでジョイとなり、その動きと変動の性質をそのハウスに与えるからである。 リリーによれば、月が第3ハウスにあるなら、旅や走り回ったり歩き回ったりする機会を増やす。 端的に言って、第3ハウスは短期の旅行とコミュニケーションを支配する。 したがって私は自動車を第3ハウスに含める。 運んで歩くことができないからである。 自動車は「走り回ったり歩き回ったり旅行する」というリリーのカテゴリーに属する。

私が本を書いているとき、クライブ・カヴァン(レグルス版“Christian Astrology”の発行者)が私にホラリーの質問をした。 「1937年製のベントレーがすごく気に入った。それを買うことができるか?」 (“Horary Astrology Rediscovered” 217ページ) 自動車がどのハウスに属するのか、さらに色を明確にすることができるかどうか試したかったので、私はこのチャートに2,3日費やした。 有効なチャートでは、対象物はすぐにわかる箇所に明確に描写されている。 もし第2ハウスがその車を描写するのであれば、私は第8ハウスのカスプ上、うおにある水星を見ていただろう。 もし第3ハウスがその車を描写するのであれば、てんびんとそのルーラー金星を見たであろう。

Chart: 15 February 1987, 4:42 p.m. GMT, 51N13, 1E25
'I have fallen in love with a 1937 Bentley. Will I be able to buy it?'
15 February 1987, 4:42 p.m. GMT, 51N13, 1E25.
(Horary Astrology Rediscovered, page 217)

おそらく読者はアーティクルの最後を見ずに、色を決める問題を一緒に考えたいだろう。

第1ハウス白または灰色
第2ハウス
第3ハウス赤、黄、または濃黄色
第4ハウス
第5ハウス黒と白、もしくは蜂蜜色
第6ハウス
第7ハウス暗い黒
(第6ハウスは暗い灰色にしか過ぎないということだろうか?)
第8ハウス黒と緑
(これは暗緑色を意味して、深緑は不吉だという偏見の理由を説明しているのだろうか。)
第9ハウス緑と白
第10ハウス赤と白
第11ハウス濃黄色
第12ハウス

惑星も色を支配する。

土星鈍い灰色あるいは灰色がかった色
木星青、紫と灰色がかった黄色あるいは緑
火星赤もしくは黄色
太陽金色と緋色。紫だと言う人もいる。
金星乳空色もしくは白
(乳空色というのは、結婚式でたいへん好まれる青緑色を意味するのではないかと思う。占星術を知る前、私は「結婚式の青」と呼んでいた。)
水星入り交じった色
(リリーは、「ヒメモリバトの首や水銀のような」と言っている。)
銀白色、淡い黄色がかった色(クリーム色?)と真珠母貝の色

サインも色と関連がある。

おひつじ白と赤
おうし白と淡黄色
(私は、おうし生まれの人は黄緑も好きであることに気づいた。)
ふたご白と赤
かに緑あるいは朽葉色
しし赤あるいは緑
おとめ黒と青
てんびん黒と暗い赤
(てんびん生まれうち、これは厳粛な人たちに当てはまるが、軽い性質の人たちはパステル色が好きなようだ。)
さそり茶色
(海のように深い赤と深い緑である。)
いて赤みを帯びた黄色あるいは緑(すなわち金色がかった緑)
やぎ黒あるいは朽葉色
みずがめ空色
うお輝く白

クライブがこの車をすっかり気に入ったと言うので、第5ハウスの金星を見た。 金星の形容詞としてのサインがやぎで、第5ハウスの黒と白の関連から、私は最初、黒だと考えた。 しかしさらに考えて、その車に期待するクライブの喜びと楽しみから、土星を却下し、蜂蜜色を支配する第5ハウスの金星が優勢であると判断した。 私はクライブに電話して、その車の色を訊いた。 そう、蜂蜜色だった。

ではチャートを検討してみよう。 この車は第8ハウスの水星と月に表示されているのか、それとも第5ハウスの金星に表示されているのか? これについて考えてご覧なさい。 できれば何時間か考えてみなさい。 あなたの結論は?

これは第3ハウスが自動車を支配することを証明している。 残念なことに、クライブは結局その車を買えるだけのお金がなく、それより安い車で妥協するしかなかった。

あるホラリー占星術師が私に異議を唱えて、自動車が第2ハウスに属すると教えていると聞いて、このアーティクルを書くことにした。 おそらく古い単語である「動かすことのできる」を誤解したためだろう。

*1:movable
*2:portable
*3:taverns/宿屋と居酒屋が一緒になった施設を指す古語。


解説
所有物、すなわち自分の自由になる物であっても、すべてが第2ハウスに支配されるわけではなく、他のハウスに属するものもあります。 ところが所有物はすべて第2ハウスだと勘違いして、自動車も第2ハウスに属すると思い込んだ人間がいました。 (今でもそう思い込んでいるかもしれません。)
このアーティクルでオリビア・バークレイが示したように、学んだ知識を実践によって確かめることは、自分の理解が正しいかどうかを確認するとともに、実践を通して理解を深めることで技術の向上にもつながるのですが、そうしたことに無頓着な者はどの国にもいます。
自動車を表すハウスと同様に、ミセス・バークレイはアセンダントを基準とするアラビックパートをアセンダント以外のハウスカスプから投影するやり方に強い懸念を抱いていました。 たとえば兄弟の財産を見るのに第3ハウスから太陽と月の度数差を投影してパートオブフォーチュンの位置を求めるというやり方ですが、これは実践で確かめるまでもなく少し考えてみれば間違いだとわかります。 パートオブフォーチュンでは気づきませんが、父親のパートならどうなるでしょう?  クエレントと兄弟でそれぞれ父親が違うなら話は別ですが、2箇所に父親のパートが存在することになってしまいます。 兄弟の財産を見るなら兄弟の財産のパートを使うべきでしょう。
ハウスに関連したことは単純ではないため、第三者については一切占わないという極端な人もいます。 第3ハウスから兄弟にとってのアラビックパートを投影するのが思慮不足であるのと比べると、こちらは思考停止状態で自ら未熟であることを暴露していますが、自分にできない(わからない)ことを避けているだけで、技術的な冒険をしていない分だけ占い師としては良心的と言えるでしょうか。

2007年8月

関連アーティクル

  • 『チャートを読む技術』
  • 『理論と実践』
  • 『ホラリーに関する誤解』

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