チャートを読む技術

國分秀星 Q.H.P.

近頃、実践における技術的な取り組み方についての質問が増えた。 いちいち回答する時間的な余裕がないので、ここに記す。

チャートを読むのは容易なことはではないし、その技術は簡単に身につくものではないと私は思う。 そもそも本を読んで知識を身につけるだけではチャートを読めるようにならない。 これは私の経験から断言できる。 技術的な事柄が説明されている教科書を読んで理解したとしても、それは本当の意味で理解したことにはならない。 占星術の理論は実践を通してしか理解を深めることができないからである。

チャートを読む作業は常に応用の連続であり、本で学んだことを当てはめようとしても、実際にチャートを目の前にしたときにぴったりくるものがない。 たとえ本に実占例が載っていたとしても、同じチャートが2枚存在しない以上、それと同じ解釈の仕方が通用するわけではないのだから、これはどうしようもない。

そもそも、あらゆる状況を想定して、いちいち事細かに述べていたのではいくら紙面があっても足りないし、あらゆるレベルの読者に理解できるように専門的な知識を説明するのは不可能である。 したがって、本に書かれている事柄は、たとえ高度で技術的・実践的なものであったとしても、それは単なる知識であり、チャートを読む作業の基礎にしかならないと割り切るべきだろう。

そこで、本に書かれていることをそれぞれのチャートごとに応用していくことになるのだが、ここで問題になるのは、基礎的な事柄を応用するには、その基礎をじゅうぶんに理解していなければならないし、深く理解するためには実践を通して経験を積むしかないことだ。 パラドクスである。 実占によるフィードバックなしには理論を理解することもできないという事実が占星術を修得することを難しくしていると思う。

頭の中に無数の引き出しがあると仮定しよう。 本を読むことはこの引き出しに無秩序に書類を入れることでしかない。 きちんと分類・整理されていなければ、その書類を有効に使いこなせないし、探すだけでも時間がかかる。 目的の書類が見つからないことすらあるだろう。 どの書類とどの書類が関連があり、どのように引き出しを配置すればいいのか、これは実践による経験を通して知るしかないのである。

占星術の理論は感覚的に理解できるものではないから、直感やインスピレーションといったものは通用しない。 現実の世界において経験を通してのみ認識されるのである。 常に引き出しに入れる書類を増やし続け、いつでも瞬時に取り出せるように心がけることがチャートを読む技術を向上させることにつながるのだ。

この整理整頓の作業を他人にやってもらうことはできない。 なぜなら自分の頭の中のことだからである。 もちろん本に書かれた内容を間違って理解してしまう可能性もあるし、また、自分がそれを理解できるレベルに達していなければ何度も読み返さなければならず、その本を読むこと自体が苦痛になるから、それは経験豊富な占星術師に補ってもらう必要がある。 しかし、最終的には自分でチャートを読めるようにならなければ意味がないのだから、他人に依存することには限界があるだろう。

占星術について語るのは簡単なことである。 知識や技法を羅列するだけでいいからだ。 ところがそれを応用することは難しいし、説明することはさらに難しい。 理論の裏付けもなく実占を行うことが無意味であるのと同様に、実践経験による裏付けもないのに理論を説明するのはほとんど意味がないし、説得力に欠ける。 じゅうぶんに理解していないうちは、他人を占ったり、他人に教えることは止めてもらいたいものである。

1999年7月
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