チャートを読み間違える原因(3)

國分秀星 Q.H.P.

占星術を実践する上でもっとも根本的かつ重要なのは、チャートに表示されている事柄について「考える」ことである。

『チャートを読む技術』で述べたように、チャートを解釈することは応用問題を解くことであり、そのためには考える必要がある。 占いとは常識を語ることではないし、同じチャートは2枚とないのだから過去の判断が当てはまるわけでもないので、経験だけから常に正解を導き出すのは不可能だ。 したがってチャートに表示されている事柄についてじゅうぶんに考えた上で判断しなければ、それがチャートを読み間違える原因となるのだが、実際には天体やサインがもつイメージから思いついたことを言うだけという者が非常に多く、むしろそれが占星術だと思われている。

慣れていない者にとって、考えるという行為はかなり面倒な作業である。 というのは、普通に日常生活をおくっている分には世間一般の慣習や常識に沿って行動すればいいし、学校の勉強や受験なども記憶力だけでなんとかなるものが大部分であり、考えることはほとんど必要ではないため、そもそも考えるという習慣がないからだ。 一般に「考える」と言った場合、それは常識や過去の経験に当てはめて類似するものを探すだけであって、本当の意味で考えていないことの方が多い。

『理論と実践』で、理論の裏打ちもなく経験のみを積むことは無意味だと書いたが、占星術を学ぶうえで経験を積む必要があるのは、学んだ技法の有効性を確認するためだけではなく、チャートに表示されたものを見て結論を出す過程で「考える」習慣を身につけることも不可欠だからである。 正しい知識や理論を身につけたとしても、それらを状況に応じて組み合わせて判断すること、すなわち考えなければならないからだ。 言い換えれば、占星術の技術を身につけるということは、チャートを判断するための思考方法を身につけることであって、テキストに書かれている内容を暗記することではない。

本を読んで、その内容を羅列することは誰にでもできる。 しかし、それを正しく理解して応用すること、すなわちチャートを解釈できるようになるには相当な修練が必要である。 理論を重視すれば実践がおろそかになり、実践にばかりこだわれば理論を軽視しがちになる。 知識を身につけることと、占星術的思考能力を身につけることはまったく別のことであって、その両方をバランス良くこなすことが大切なのだが、相当な期間にわたって集中力を維持して勉強しなければならないので、たいていの者は途中で挫折してしまう。 したがって強い目的意識をもたなければ占星術の技術を身につけることは難しい。 (もし、たいした苦痛もなく、すらすらと勉強が進むようなら、自分の習熟度を疑ってみた方がよい。)

以前、日本の高校や大学で教えているアメリカ人から聞いた話だが、日本の学生は教えたことは正確に覚えるが、応用力が乏しく、また自分で情報を集める努力をしないそうだ。 これを占星術に当てはめてみると次のようなことが言える。

このうち、最初の二つはすでに他のアーティクルで述べてきた。 今回のテーマと関係あるのは三番目の項目である。 つまり、自分で調べようともせず、誰かに聞けばいいと思っている者は忍耐力が欠落しているため、少しでも苦痛を感じると、いとも簡単に挫折して安易な道を選んでしまうし、テキストを読んで理解できないものがあったり、自分の読解力に自信がもてなかったりすると、何も考えずに人に頼ろうとするのである。

目の前にあるチャートが解釈できなかったらどうするのだろうか?  誰かに聞けば教えてもらえるのだろうか?  仮に教えてもらえたとして、他人に聞かなければチャートを解釈できない占い師に誰が見料を払うのだろうか?  そういった者にプロを名乗る資格があるのだろうか?

私は、与えられた情報を暗記することだけを教えている日本の学校教育が悪いとは思わない。 情報を正しく認識することは学ぶことの基本だからだ。 しかしながら、間違った情報がまかり通る占星術の世界においてはそういった勉強の仕方は通用しないし、暗記しただけでは応用ができないので、学ぶ姿勢を改めることから始める必要がある。 自分の頭で考えることができない者はかなり高い確率でチャートを読み間違え、占星術とはその程度のものと諦めたり、質の低い安易な道を選んでしまうのである。

2001年8月
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