チャートを読み間違える原因(5)

國分秀星 Q.H.P.

占星術上達の秘訣として、「基礎学んだら、あとは実践あるのみ」と言う人が昔からよくいる。 たしかに、知識を学んでも、それを理解できるレベルに達していないと重要なところを見過ごしたり、正確に理解できないこともあるので、実践経験を通して理解を深めることは重要である。 しかし、これを言う人はほとんどの場合、初歩的な知識だけ学んで、足りない部分はカンで補おうという姿勢である。 既に 『チャートを読み間違える原因』 にも書いたが、これについて改めて述べてみたい。

占星術だけでなく占い全般にいえることだが、長くやっていくと次第にカンが良くなってくる。 最終的には、話を聞いただけで答えが出るようになり、もはや占う必要もなくなる。 ところが、どんなにカンのいい人間でも、それが常に当たるというわけではないから、それに頼ると大きな誤りを犯すことになるし、カンが冴えず、かつ知識不足のために占いでも答えを出せないときには当てずっぽうで答えるか、当たり障りのないことを言うことしかできないだろう。 もちろん、素直に「わからない」と答えるのであれば問題ないのだが…

この意見に対して、「占い師として必要なインスピレーションが不足しているのではないか」と言われたことがある。 一瞬正しそうに思えるが、これは詭弁である。 そもそも占いとは普通の人間には備わっていない未来予知という能力を補うための方法である。 通常の方法ではわからないから占うのであって、占いの技術を補うためにインスピレーションを使うというのでは占いの意義が失われる。 したがって占い師にインスピレーションなどは特別に必要ないのであり、インスピレーション占いとか霊感占いというものは極めて矛盾をはらんだ代物である。

また、「基礎知識だけでもじゅうぶん鑑定はできるし、インスピレーションもいらない」とうそぶく者もいた。 現実には基礎もしくは初歩的な知識で占えることには限界があり、間違える以前に占うことができない場合が多い。 もし無理に占うと、インスピレーションを使うよりも高い確率で失敗する。 これを言った者は何をするかのというと、占いは二の次で、カウンセリングやセラピーのまねごとをしていた。 心の問題を解決するには占いよりもはるかに効果のある方法があるのだから、あえて占い師がそういうことをやる必要はないし、占いの本質である未来予知とは関係がない。

占星術に限定すれば、占星術師に必要なのは正確な知識とそれを応用するための推論能力である。 応用というのは知識を具体的な事例に用いることであり、その前提となる知識が正しくないと正しい答えは出せない。 困るのは、ある程度経験を積んでカンが良くなった者は、用いる知識を正確に理解できていなくても、あるいは必要な知識が不足していても正しい答えを出せる場合が多くなることだ。 中には先天的に優れたカンの持ち主がいて、解釈の仕方が完全に間違っているにもかかわらず、正しい答えを出すことがある。

そうなると、自分の理解が間違っていようが、不足しているものがあろうが、大した問題ではなくなり、知識・技術面での進歩が止まる。 カン、インスピレーションという直感的なもので物事を認識することに慣れてしまったために勉強する気力が衰え、本を探したり読んだりという手間のかかること、面倒なことを避けるようになるからだ。 さらに、理性よりも感覚が発達し、考えるということをしなくなるので、チャートを読み間違える。 その原因は以下の4つに分類できる。

  1. 瞬時に物事を認識するため、表面的なものに気を取られ、本質を見落とす
  2. Tの理由により、誤解・勘違いが多い
  3. 主観が混じりやすく、解釈が偏向する
  4. 表現も感覚的であいまいになり、正確に意図を伝えられない

このうち、もっとも大きな原因はVで、解釈の内容が占い師自身の経験によって左右されてしまう。 つまり、インスピレーションに頼る占い師は、依頼者のことを占っているように見えて、実際には自分の経験を語っていることが多いのである。 極端な場合、何を占っても同じような解釈しかしない者もいる。 実は、こうした特徴はインスピレーションを意図的に使っていなくても、知識不足に気づかずに長年占いをやってきた者にも当てはまる。

どのような職業でも、実際の業務を通してしか得られないものがある。 占いの現場においては、学んだ知識の有効性と自分の理解が正しいことを確認することと、自分に不足しているものを見つけて新しい勉強をすることがそれに当たる。 知識不足に目をつぶって実践にばかり比重を置くと、技術はあるレベルで止まってしまうのである。

2005年5月
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