チャートを読み間違える原因(4)

國分秀星 Q.H.P.

情報を正しく認識し、正確な知識を身につけることの重要性をこれまで繰り返し述べてきた。 しかし、たとえ正しい知識が得られたとしても、記憶だけに頼って、自分の認識が正しいかどうかを確認しなければ、それがチャートを読み間違える原因となることがある。 言うまでもなく、人間の記憶は不確かなものであり、時間の経過とともに薄れていくし、細部が次第に記憶から欠落していき、元とは異なったことを正しいと認識してしまうこともあるからだ。

そもそも占星術の技術を身につけるということは、チャートを判断するための思考方法を身につけることであって、テキストに書かれている内容を暗記することではない。 もちろん熟練によって、覚えていられる部分も増えるだろうが、膨大なテキストを一字一句間違いなく暗記し、それを正確に記憶し続けることが不可能である以上、チャートを判断する上で大筋となる考え方を学び、細かい項目については必要になったときに調べるというのが現実的であろう。

したがって、本に書かれている細かな内容を思い出せないことよりも、自分の記憶を確かめる手間を惜しんでミスをすることのほうがはるかに恥ずかしいことだと私は思う。 人間にとって、記憶違いやうろ覚えなどはごく当たり前のことであり、もし誤りがあれば、それを正せばいい。 手間を惜しむことでチャートを読み間違えることは何としても避けたい。 たとえ確認のために時間がかかったとしても、間違えるよりはずっとマシである。

ところが、そうした手間を惜しむ人間が占星術の世界には少なくない。 間違ったのなら素直にそれを認めて誤りを正せばいいのだが、 間違いを指摘されると、小難しいことを言って話をそらしたり、他人に責任を転嫁したり、ひどいときには逆切れ状態になってごまかそうとする人間がほとんどだ。 そういう人たちは占星術師という以前に人間としての誠意を疑われて当然だし、第三者が見ても見苦しい限りである。 (私が見た中で最低だったのは、権威を笠に着て自分の間違いをごり押しした人間だ。これはもう呆れる以外になかった・・・。)

写真はオリビア・バークレイが使っていたレグルス版のChristian Astrologyである。 私が最初に見たときは背表紙が取れかかっており、その翌年には片側が表紙から分離してしまっていた。 さらにその2年後、亡くなった後の状態がこれで、背表紙は完全に取れてしまい、梱包用のテープで無造作に補強されている。 つまり、1985年にこのレグルス版が出版されてから、15年間この本を勉強し続けたことを意味する。 Christian Astrologyの初版を手に入れたときから数えれば20年以上であり、たいへん記憶力のいい人だったので、それが自分の理解を確認するためであったことは言うまでもない。

いつの時代にも占星術の技法を曲解・誤解する人間はいる。 著者の意図することを読みとれない、すなわち読解力の無さが原因となることが多いのだが、前述のように記憶違いという場合もある。 チャートを正しく判断するためには正しく技法を理解していなければならないのだから、占星術を続ける以上、自分の知識と理解が正しいことを常に確かめるべきだろう。

2002年10月
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