チャートを読む技術(2)

國分秀星 Q.H.P.

『チャートを読む技術』 で説明した事柄を理解できない人が多いので、もう少し詳しく書いたみたい。

実占的な観点から言えば、天体が各サイン・ハウスにあるときの意味や各天体間のアスペクトの意味を覚えることはたいして役に立たない。 というのは、チャートを解読する上でそれらが使われるのはせいぜい20%くらいのもので、まったく使わないことの方が多いからだ。 これはホラリーで現実的な問題を占うときでも、ネイタルで人間の内面を観ようとする場合でも同じである。 (私はネイタルチャートを現実的な答えを出すためにも用いるが。)

そもそも、「金星がうおにあるとき」「月が第6ハウスにあるとき」「水星と冥王星がオポジションのとき」などの意味を書いてある本は一般大衆向けのものであり、チャートを解釈する技術がない者が、自分を含めた身近な人間のネイタルチャートを拾い読みすることを目的として書かれている。 アラン・レオの"Astrology for All"などがその代表例だ。 こういった本はクックブックと呼ばれ、料理の本のように誰の口にでも合うような無難な料理が作れるというだけで、具体的な問題に対する回答が得られるわけではない。

クライアントから質問されたことに答えられず、一般的で、誰にでも当てはまるようなこと、あるいは分かり切ったようなことしか言えない占い師が多いのは、こうしたクックブックしか勉強していないからである。 もちろんまったく役に立たないわけではないから、覚えても損はないが、それだけではプロとしてやっていけるはずがないし、本格的な占星術からはほど遠い。

重要なのは、天体、ハウス、サインの個別の意味を理解して応用することであり、それらを組み合わせるための技法を知ることである。 そして、経験を積み重ねることで、はじめて技術が身につくのだ。 以前書いたように、これは簡単なことではないし、また、間違って覚えてしまうと直すのに相当な時間がかかる。

一番難しいのは、組み合わせるための技法を応用することだろう。 私が勧めている本を読んで「○○のときは××と書かれているが、△△のときはどうするのか?」という質問をする人が多い。 これは経験不足で応用がきかないからである。 残念だが、生徒でもない人にそこまで教える義務はないし、私だって誰かから習ったわけではなく、経験を通して身につけたのだ。 そして、経験によって得られたものは、言葉では表現しづらい複雑な部分があるため、教えるのが難しい。

私がホームページで実占例をほとんど公開しないのは、基礎ができていないのに見よう見まねでやってしまう人があまりにも多く、それは見よう見まねで車を運転するのと同じことで危険だと思うからだ。 実占例を見ることは応用例を学ぶことであり、もちろん意義のあることなのだが、そこで使われている技法の応用例のうちのひとつを知ることにしか過ぎない。

応用の仕方はチャートごとに異なると言っても過言ではないくらいバリエーションがあり、いくら多くの実占例を学んだとしても、実際には当てはまらないものの方が多い。 基礎を応用するには論理的思考力が必要だが、応用するということを意識しすぎて、ひとつの表示にばかり目が行き、全体が見えなくなってしまうこともある。 これは個と全体のバランスをとるということなのだが、生まれつき持っている才能に左右されるところがあるため、そのあたりを難しく感じる人も少なくない。

考えすぎて堂々巡りをしていてはいつまでも答えを出せないが、だからといってまったく考えずにインスピレーションで補うことには問題がありすぎる。 きちんと基礎を身につけた上で応用力を培って欲しいものである。

1999年11月
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